殺人事件とタイムスリップを巧みに描いた中田永一著「ダンデライオン」

今回は小説「ダンデライオン」を紹介します。

「ダンデライオン」はタイムスリップもののです。

2019年を生きている主人公・下野蓮司(かばたれんじ)31歳が殺人事件が起きる20年前の1999年を生きている11歳の下野蓮司に、そして11歳の下野蓮司は20年後の31歳の下野蓮司に1日だけ入れ替わるお話です。

一見複雑そうな状況ですが、非常に巧みに書かれており読みづらさは全く感じませんでした。

むしろ、その世界観に魅了され続きを読みたいと読破するまで思っていました。

作品および著者の概要

「ダンデライオン」は「くちびるに歌を」で有名な中田永一さんにより執筆された作品です。

「ダンデライオン」のあらすじ

「くちびるに歌を」以来7年ぶりの長編小説

11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。20年の歳月が流れていた。そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。子ども時代と大人時代の一日が交換されたのだ、と彼女は話した。
一方、20年後の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれていた。ある目的を達成するために、彼は急いでいた。残された時間は半日に満たないものだった–。

ミリ単位でひかれた、切なさの設計図。著者だからこそできた、完全犯罪のような青春ミステリーの誕生。

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著者:中田永一

1978年福岡県生まれ。2008年、『百瀬、こっちを向いて』でデビュー。2011年刊行の『くちびるに歌を』で「第六十一回小学館児童出版文化賞」受賞のほか、2012年本屋大賞第四位入賞、映画化もされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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主人公がタイムスリップするミステリー小説

怪しい夜空

「ダンデライオン」はタイムスリップを扱った小説です。とはいえ殺人事件がを取り扱っているので、ミステリー小説です。

そのため、小説を読んでいく中で自分で推理を行っていました。

物語の中であれっと思うところが何カ所かあるのですが、最後の章まで行くまで犯人がわかりませんでした…

とても悔しかったです😱 今から読む人は是非物語中頃で気づいてほしいですね!読み終わってしまえば、簡単だったなと思っているので、難しくはないはずです!!

2019年までは現実の世界を反映

現実世界

物語の舞台は1999年から2019年までの日本(仙台/東京/鎌倉)です。

その間の出来事は現実世界とほとんど一致しています。1999年の地球滅亡説(ノストラダムスの大予言)や2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災などについて述べられています。

この描写は過去から来た主人公・下野蓮司に未来にタイムスリップしたことを説明する場面でよく使われます。

しかし、それ以上に読者が小説の世界に入り込みやすい描写になっていると私は思いました。

私はタイムスリップという非現実的なことがありすぎると、よくわからなくなります。

そのため、現実世界も反映しているこの世界観は作品に入り込みやすくて大好きです。

勇敢な主人公に憧れ

未来の主人公・下野蓮司は妻の過去である少女を助けに仙台から鎌倉まで移動します。

未来の下野蓮司は少女をどう助けたのか知りません(助けたのはさらに未来の下野蓮司だから)。

知っていることといえば少女の家族が何者かに殺されており、少女が殺されそうなところに下野蓮司が助けたということだけです。

いくら自分が死なず少女を助けることができたことを知っていても、人を殺した犯人がいる現場に行くことができるでしょうか?

歴史がひとつでも変わっていれば、殺されてしまうかもしれません。

そんな状況にもかかわらず、少女を助けに行く下野蓮司はとても勇敢だなと憧れてしまいました

過去に戻れたらどうする?

なぜ

31歳の主人公・下野蓮司は事故に遭う日をわざと違う日を恋人に伝えて、11歳の蓮司に伝てもらいます。

事故に遭う日を正確に伝えていれば事故を回避でき、事故のけがで挫折した少年時代の夢を追い続けることができたはずです。

しかしそうしなかったのは恋人に会いたかったから、ラブラブですね(笑)

今の私がもし過去に戻れたらどうしようかと考えてしまいました。そんなことを考えさせてくれるのもこの小説の魅力かもしれませんね。

ダンデライオンの魅力はタイムスリップを題材にしているにもかかわらず、場面がとても想像しやすい点です。

そのため、国語が苦手な私でも、このときの人物の気持ちや私だったらどうだろうと考えながら読むことができました。ゆえに、とても楽しむことができました。

ダンデライオン、非常におすすめの小説です。

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