2020年3月に修士課程を修了し、4月から社会人になりました。
この記事では、ブラック研究室で修士課程を修了した私が、大学院の研究室生活で学んだことを本音で書きます。
最初に結論を書くと、研究室生活で専門知識は身につきました。でも、今の仕事でその専門知識が直接役立っているかと言われると、ほとんど役立っていません。
むしろ、今振り返って強く残っているのは、専門知識よりも「時間と健康は本当に大事だった」という後悔です。
そしてもう1つ、この記事で一番伝えたいことがあります。
ブラック研究室に入ってしまっても、逃げていいです。途中でやめても、人生は終わりません。
研究室選びに失敗したからといって、人生そのものが失敗になるわけではありません。私自身、研究室生活ではかなり消耗しました。それでも修了後に社会人になり、今も普通に働いています。
だからこの記事では、大学院をきれいごとで語るのではなく、得たもの、失ったもの、今だから言える本音をまとめます。
大学院の研究室生活で学んだこと
大学院の研究室生活で学んだことは、大きく分けると以下の3つです。
- 専門知識
- 忍耐力
- 時間とお金の大切さ
ただし、最初に言っておきます。
私は「大学院に行けば必ず人生が良くなる」とは思っていません。
むしろ研究室選びを間違えると、大学院生活はかなり危険です。研究が好きだったとしても、環境が悪ければ普通に心身を削られます。
私が所属していた研究室はいわゆるブラック研究室でした。休日は少なく、夜も何時に帰れるかわからない。お金をもらうどころか、学費を払いながら研究をする生活です。
その中で得たものもありますが、失ったものもかなり大きかったです。
専門知識は身についた
大学院という環境にいたので、もちろん専門知識は身につきました。
自分が研究していた分野に限れば、当時はかなり詳しかったと思います。学会で教授や研究者と議論する機会もありましたし、自分の研究テーマについては、自分が一番詳しいと言える部分もありました。
研究成果は、自分が実験し、考察し、発表しなければ誰にも知られないものです。指導教員であっても、私が報告しなければ知らない事実があります。
世界で誰も知らないことを、自分が最初に知る可能性がある。
これは研究の面白さだと思います。
もちろん、3年ほど研究しただけの人間が何を言っているんだ、という気持ちもあります。それでも、自分の研究テーマの中では本気で考え、本気で調べ、本気で議論していました。
ただし、研究テーマから少し外れると、他の研究者の話にはまったく入れないこともありました。専門分野というのは、それくらい狭く、深いものです。
でも、その専門知識は今の仕事でほとんど役立っていない
ここからが本音です。
社会人になった今、大学院で身につけた専門知識に関わる仕事はしていません。
研究室生活の3年間で学んだ知識が、今の仕事で直接役立っているかと言われると、ほとんど役立っていません。
だから現在の私の感覚としては、大学院で勉強した専門知識は、お金を払って増やした「お金を生まない知識」だったというのが正直なところです。
かなりひどい言い方かもしれません。
でも、これが本音です。
もちろん、学問そのものを否定したいわけではありません。研究が好きな人、本気で研究者を目指している人、専門知識を仕事に直結させられる人にとって、大学院は大きな意味があると思います。
ただ、私の場合は違いました。
学費を払って、時間を使って、健康を削って、専門知識を得ました。けれど、その知識が今の収入や仕事に直接つながっているとは感じていません。
だから私にとって大学院で学んだ専門知識は、かなり高い趣味だったと言っても過言ではありません。
研究室生活で得たものは忍耐力ぐらいだった
専門知識以外で得たものを挙げるなら、忍耐力です。
ブラック研究室で過ごしたことで、休日が少なくても、残業が多くても、多少のことではへこたれにくくなりました。
社会人になってからも、仕事が忙しい時期はあります。残業が続くこともあります。休日が少なく感じることもあります。
それでも、研究室時代の生活を思い出すと、まだ耐えられると思ってしまう自分がいます。
これは得たものと言えば得たものです。
しかし、正直に言うと、そんな忍耐力を身につけるためにブラック研究室へ行く必要はありません。
忍耐力は大事です。でも、若い時間や健康を削ってまで手に入れるものではないと思います。
過酷な環境に耐えられるようになったからといって、その環境が正しかったことにはなりません。
つらい経験から何かを学べたとしても、つらい経験そのものを美化する必要はありません。
時間とお金の大切さを嫌というほど学んだ
大学院生は、同級生が社会人として給料をもらい始める時期に、学費を払いながら研究をしています。
もちろん、大学院で学ぶことに意味を感じている人もいます。研究が好きで進学する人もいます。将来の仕事に必要だから進学する人もいます。
でも、研究室選びを間違えると、現実はかなり厳しいです。
土日や長期休暇がなくなり、夜も何時に帰れるかわからない生活を強いられる可能性があります。
私は運悪くブラック研究室に配属され、時間もお金もない生活を経験しました。
そして今振り返ると、失ったものはかなり大きかったです。
- 若い時代の貴重な時間
- 健康
- 大学生らしく遊べたはずの時間
- 他の研究室の学生なら経験できたかもしれない自由
- 自分のために使えたはずのお金
他の研究室の学生が遊んでいる時期にも、自分は研究室にいました。
大学生はもっと遊べるはずだったと思います。もちろん、全員が遊ぶべきだと言いたいわけではありません。勉強や研究に打ち込む時間も大切です。
でも、自分の意思で打ち込むのと、環境に追い込まれて自由を失うのはまったく違います。
私は後者でした。
だから今の私には、ブラック研究室で得をしたという感覚はありません。
得したことはないです。2度と戻りたくありません。
労働するならお金をよこせ、という気持ちは強くなった
ブラック研究室を経験して強くなった考えがあります。
労働するなら、お金をよこせ。
かなり乱暴な言い方ですが、今の本音です。
研究室では、学費を払って研究をしていました。もちろん大学院は教育機関であり、会社ではありません。研究と労働を完全に同じものとして扱うのは違うかもしれません。
それでも、実際には長時間拘束され、成果を求められ、休日も削られます。
その生活を経験すると、社会人として働いて給料をもらえることに、変な安心感すらありました。
会社員の仕事にも大変なことはあります。理不尽なこともあります。残業が多い時期もあります。
それでも、少なくとも仕事として働けば給料が出ます。
自分の時間を使うなら、お金は大事です。
自分の健康を削るなら、なおさらです。
若い時間は戻ってきません。健康も、失ってから元に戻すのは簡単ではありません。
ブラック研究室は美談にしてはいけない
ブラック研究室を経験した人の中には、「あの経験があったから今がある」と語る人もいます。
私も、まったく何も得なかったとは言いません。忍耐力はついたと思います。多少忙しくてもへこたれにくくなりました。
でも、それを理由にブラック研究室を肯定するつもりはありません。
つらい環境から何かを学べたとしても、その環境が良かったことにはなりません。
私にとってブラック研究室は、得たものより失ったものの方が大きい場所でした。
若い時間を失いました。健康も削りました。他の研究室ならできたかもしれない大学生活も失いました。
だから、これから研究室を選ぶ人には、同じ思いをしてほしくありません。
貴重な20代前半をブラック研究室で過ごしたくない人は、研究室選びの段階で本気で調べてください。
ブラック研究室を見極めよう!ブラック研究室の特徴とは!!

大学院に進学するべきか
この記事を読んでいる人が一番気になっているのは、大学院に進学するべきかどうかだと思います。
私の答えは、今も「人による」です。
ただし、昔よりもはっきり言えることがあります。
研究が好きかどうかだけで大学院進学を決めない方がいいです。
研究が好きでも、研究室の環境が悪ければ壊れます。
研究が好きでも、逃げ道がなければ追い込まれます。
研究が好きでも、専門知識が将来の仕事や収入につながるとは限りません。
だから大学院進学を考えるなら、研究テーマだけでなく、研究室の環境、指導教員、卒業生の進路、就職活動のしやすさまで確認した方がいいです。
大学院に進学してもよい人
私が思う、大学院に進学してもよい人は以下です。
- 研究そのものが本当に好きな人
- 専門知識を将来の仕事に活かす見込みがある人
- 研究室の環境を事前に調べられる人
- おかしいと思ったときに逃げる選択肢を持てる人
- 就職活動や別の進路を並行して考えられる人
特に大事なのは、逃げ道を持っていることです。
逃げ道がある人は、精神的にかなり楽です。
研究室に入る前から就職活動の情報を集めておく。インターンに参加する。大学院に進学しても、就職活動のやり方だけは知っておく。
これだけでも、かなり違います。
就活は情報を早く集めた人が勝つ|オンライン時代に地方大学生が不利を減らす方法

大学院に進学しない方がいい人
逆に、大学院に進学しない方がいいと思う人もいます。
- なんとなく就職したくないから進学する人
- 研究室の実態を調べていない人
- 逃げることを悪だと思っている人
- ブラックな環境でも耐えるしかないと思い込んでいる人
- 専門知識が将来どう活きるか考えていない人
特に、なんとなく大学院へ進むのは危険です。
大学院は、学部の延長のように見えるかもしれません。でも研究室生活は、研究室によって大きく変わります。
楽しく研究できる人もいます。充実した大学院生活を送る人もいます。
しかし、環境を間違えると、時間も健康も削られます。
研究が好きでも、逃げ切れる自信がない人は大学院に進学しない方がいい。
これは今も変わらない私の持論です。
ブラック研究室に入ってしまったら逃げていい
もし、すでにブラック研究室に入ってしまっているなら、まず伝えたいことがあります。
無理だと思ったら、逃げてください。
研究室をやめることは、人生終了ではありません。
大学院を中退しても、人生は終わりません。
研究テーマを変えても、人生は終わりません。
私は、所属していた研究室から途中で辞めた人たちを見てきました。途中で辞めたからといって、その人たちの人生が終わったわけではありません。
むしろ、研究室にいたときよりも、就職後の方が表情が明るくなった人もいました。
研究室にいると、視野が狭くなります。
「ここで逃げたら終わりだ」
「指導教員にどう思われるだろう」
「中退したら就職できないのではないか」
そう考えてしまう気持ちは分かります。
でも、外の世界は研究室だけではありません。
研究室の中で評価されなくても、社会全体で価値がない人間になるわけではありません。
大学院をやめても人生は終わらない
大学院をやめることに対して、強い不安を持つ人は多いと思います。
でも、冷静に考えてください。
- すでに大学を卒業している
- 学部卒として就職する道がある
- 研究室以外にも働ける場所はある
- 若ければ進路変更もしやすい
- つらい環境から抜けた経験は、次の判断材料になる
もちろん、中退を軽くすすめるつもりはありません。
学費、就職、家族への説明、将来の不安。考えることはたくさんあります。
でも、命や健康を削ってまで研究室に残る必要はありません。
大学院で失敗しても、やり直せます。
研究室選びに失敗しても、やり直せます。
進路を間違えたと思っても、そこから考え直せばいいです。
私自身、ブラック研究室で失ったものはあります。若い時間も、健康も、大学生らしい自由も、戻ってきません。
それでも、社会人として働き、生活し、こうして当時の経験を言葉にできています。
失敗しても、人生をそこで終わらせる必要はありません。
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2020年当時の記事を読み返して思うこと
この記事の元になる文章を書いたのは、修士課程を修了して社会人になったばかりの頃でした。
当時の私は、大学院生活が終わった反動もあって、社会人生活にかなり幸せを感じていました。
給料が出る。休日がある。労働基準法の範囲内で働ける。自分のお金で教材を買える。
それだけで、かなり恵まれているように感じていました。
今読み返すと、当時の文章にはかなり危うい部分もあります。
「幸せを感じていないなら、大学院でつらい思いをすれば幸せを感じられる」というような、かなりひねくれた考え方も入っていました。
今は、そうは思いません。
つらい環境を経験しないと幸せが分からない、という考え方は危険です。
そんなことをしなくても、幸せは感じられた方がいいです。
ブラック研究室で苦しむ必要なんて、本来ありません。
ただ、そういうひねくれた考え方になってしまうほど、当時の研究室生活がきつかったのも事実です。
だから今は、この記事を「大学院に行けば成長できる」という話ではなく、ブラック研究室に入ってしまった人へ向けた逃げ道の話として書き直しています。
大学院で得たものより、失ったものの方が大きかった
今の私が大学院生活を一言で振り返るなら、こうです。
得たものより、失ったものの方が大きかった。
専門知識は得ました。
忍耐力もつきました。
でも、若い時間を失いました。健康も削りました。もっと自由に過ごせたはずの大学生活も失いました。
そして、得た専門知識は今の仕事でほとんどお金を生んでいません。
だから私は、大学院生活を美談にはできません。
「あの経験があったから今がある」と言えば聞こえはいいです。
でも、それだけで片付けたくありません。
戻れるなら、同じ研究室には絶対に戻りたくありません。
これが本音です。
それでも大学院生活が完全な無駄だったとは言わない
ここまでかなり否定的に書いてきました。
でも、大学院生活が完全に無駄だったとも言いません。
なぜなら、私はそこで失敗し、後悔し、そこから考え直したからです。
研究室選びは失敗だったと思います。
もっと早く逃げ道を作っておけばよかったとも思います。
もっと自分の時間と健康を大事にすればよかったとも思います。
でも、その失敗があったから、今は「危ない環境からは逃げていい」と言えます。
そして、自分の経験として、失敗してもやり直せると書けます。
大学院進学に迷っている人、研究室がつらい人、逃げたいけど逃げられないと思っている人に伝えたいのは、きれいな成功談ではありません。
現実として、研究室選びに失敗するときついです。
専門知識が役に立たないこともあります。
若い時間を失ったと感じることもあります。
それでも、そこで人生を終わらせる必要はありません。
逃げてもいい。やり直していい。研究室だけが人生ではありません。
まとめ:研究室で学んだ一番大事なこと
ブラック研究室で修士課程を修了した私が、研究室生活で学んだことをまとめます。
| 学んだこと | 現在の本音 |
|---|---|
| 専門知識 | 身についたが、今の仕事ではほとんど役立っていない |
| 忍耐力 | 多少忙しくてもへこたれにくくなったが、美化はできない |
| 時間とお金の大切さ | 若い時間と健康は本当に大事だった |
| 逃げ道の重要性 | 大学院進学前から就活や別の選択肢を持つべき |
| 人生のやり直し | 研究室選びに失敗しても人生は終わらない |
大学院の研究室生活で、私は専門知識を得ました。
でも、それ以上に、時間と健康の大切さを痛感しました。
そして、ブラックな環境からは逃げていいということも学びました。
研究室で学んだ一番大事なことは、研究そのものではなく、自分の人生を守る判断をしていいということです。
大学院に進学するか迷っている人は、研究テーマだけで決めないでください。
研究室の環境、指導教員、先輩の様子、卒業生の進路、就職活動のしやすさまで調べてください。
そして、もし入った研究室がどうしても無理なら、逃げてください。
逃げることは負けではありません。
失敗しても、遠回りしても、人生はやり直せます。



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