宗谷岬へ行くなら、もっと効率のよい移動方法があったかもしれません。
それでも今回は、札幌から稚内まで宗谷本線に乗りました。
目的地は、日本最北端の宗谷岬です。しかし、この旅で一番楽しみにしていたのは、宗谷岬そのものではありませんでした。
仕事を忘れ、ハンドルを握らず、北海道らしい平野や田園を眺めながら北へ進むこと。
札幌から稚内までの長時間乗車は、目的地へ行くために耐える時間ではありません。その時間を過ごすこと自体が、今回の旅の目的でした。
実際に乗ってみると、位置情報ゲームを思うように遊べないほど通信が弱いと感じる区間もありました。最初は困りましたが、スマートフォンを置いたことで、かえって車窓を見る時間が増えました。
この記事では、レンタカーではなく宗谷本線を選んだ理由、長時間乗車を苦行だと思わなかった理由、車窓とビール、電波の弱さから感じた「最果て」について振り返ります。
結論から言えば、宗谷岬は目的地でしたが、旅の主役は宗谷本線でした。
今回の旅で一番楽しみだったのは宗谷本線
今回の目的地は宗谷岬でした。
日本最北端へ行ってみたい。SFC修行も進めたい。
どちらも旅へ出た理由です。
それでも、この旅で一番やりたかったことは別にありました。
仕事を忘れ、ハンドルを握らず、宗谷本線の車窓に身を任せることです。
札幌から稚内までは、短い移動ではありません。早く着くことだけを考えるなら、長すぎると感じる人もいると思います。
しかし、自分にとっては、その長さこそが楽しみでした。
北海道らしい広い平野や田園を眺めながら、少しずつ北へ進みたい。目的地へ一気に飛ぶのではなく、日常から時間をかけて離れたかったのだと思います。
寝不足でも、宗谷本線へ乗る気持ちは変わらなかった
前夜は、すすきののカプセルホテルに泊まりました。
翌朝は早いのだから、すぐ寝ればよかったと思います。
ところが、館内に無料マンガがありました。
無料なら読まないともったいない。
そう思って読み始め、始発前泊なのに自分から寝不足になりました。
翌朝は、我ながら何をしているのだと思いました。それでも、眠いから旅をやめたいとは思いませんでした。
やっと宗谷本線に乗れる。その気持ちの方が強かったからです。
前夜にすすきので何をして、自分から寝不足になったのかは、「稚内行き始発のため、すすきののカプセルホテルに前泊した夜」で詳しく振り返っています。

仕事と人間関係から、ただ遠くへ行きたかった
退勤しても、頭の中では仕事が続いていた
旅行前は仕事量が多く、身体だけでなく気持ちにも仕事が残っていました。
退勤して会社を出ても、頭の中では仕事が続いている。
次に何をするのか。どう説明するのか。どの判断が正しいのか。
そんなことを考え続ける状態から、一度離れたくなっていました。
旅行先でも細かく予定を組み、次々に判断していたら、仕事とあまり変わりません。
今回は何かを判断し続ける旅ではなく、列車に乗ったら運ばれていく旅がしたかったのです。
人と話すことより、気を遣い続けることに疲れていた
人間関係や会話にも疲れていました。
誰かと一緒に行く旅なら、行きたい場所、食べたいもの、休憩する時間まで相談しなければなりません。
一人旅なら、誰かに合わせる必要はありません。
景色を見たければ見ればいい。眠ければ寝ればいい。ビールを飲みたければ飲めばいい。
何をしていても、誰かに説明する必要がありません。
自分は人といることが嫌いというより、気を遣い続けることに疲れやすいのだと思います。
宗谷本線の長い乗車時間は、その気遣いから離れられる時間でもありました。
毎日同じ景色から離れたかった
仕事と自宅を往復していると、毎日見る景色も似てきます。
同じ道を通り、同じ建物を見て、同じ場所で仕事をする。
その繰り返しから、物理的にも遠くへ行きたくなっていました。
札幌から稚内へ向かう列車に乗り、建物が減り、平野や田園が広がっていく。
景色が変わるたびに、普段の生活圏から離れていることを感じました。
効率よく観光地を回ることより、誰にも合わせず、ただ遠くへ運ばれていく時間が欲しかったのです。
レンタカーではなく宗谷本線を選んだ理由
レンタカーと鉄道には、それぞれ違う自由があります。
| 移動手段 | 得られる自由 | 今回気になった点 |
|---|---|---|
| レンタカー | 好きな場所へ寄れる、時刻に縛られない | 運転に集中する必要があり、酒も飲めない |
| 鉄道 | 運転せず、景色を見たり休んだりできる | 時刻と停車駅に行動を合わせる必要がある |
どちらが正解という話ではありません。
今回の自分に必要だった自由が、鉄道の方にあっただけです。
自分で運転したら、宗谷岬へ着く前に疲れてしまう
レンタカーなら、好きな場所へ寄り道できます。
途中で気になる景色を見つけたら止まれるし、列車の時刻を気にする必要もありません。
移動効率では、車の方がよい場面もあると思います。
ただ、札幌から稚内まで自分で運転したら、宗谷岬へ着く頃には疲れ切っていたはずです。
前方、対向車、速度、標識、ナビを確認し続けなければなりません。
旅先へ到着できても、到着後に楽しむ余裕が残らなかったかもしれません。
今回は、好きな場所へ自由に寄ることより、自分が疲れずに移動できることを優先しました。
運転しながらでは車窓に集中できない
北海道らしい平野や田園を、じっくり見たいと思っていました。
自分で運転していたら、景色がきれいでも見続けることはできません。道路から目を離すわけにはいかないからです。
鉄道なら、進行方向も速度も運転士に任せられます。
道を間違える心配もありません。事故を起こさないよう緊張し続ける必要もありません。
座って、窓の外を見ていればいい。ハンドルを握らなくてよいこと自体に、今回は大きな価値がありました。
それに、酒はどうする
もう一つ、鉄道を選ぶ大きな理由がありました。
それに、酒はどうする。
レンタカーなら、移動中に酒は飲めません。当然ですが、今回の旅ではかなり重要でした。
列車なら、ビールを飲みながら車窓を眺められます。
疲れたら、そのまま座っていればいい。眠くなったら、少し目を閉じてもいい。
レンタカーには、好きな場所へ曲がれる自由があります。
一方、鉄道には、自分で運転しなくてよい自由があります。
今回欲しかったのは、好きな場所へ曲がれる自由ではありません。ハンドルを握らなくてよい自由でした。
位置情報ゲームを遊ぶつもりが、電波の弱さを感じた
駅メモ!と信長の野望 出陣を遊ぶ予定だった
宗谷本線に乗る前は、車窓だけでなく位置情報ゲームも楽しみにしていました。
駅メモ!で宗谷本線の駅を記録したい。
信長の野望 出陣も進めたい。
鉄道で移動しながら位置情報ゲームを遊ぶのは、普段の鉄道旅でも楽しみにしていることです。
今回も、ゲームと車窓を同時に楽しむつもりでした。
実際には、思うように動かない場面があった
ところが実際に乗ってみると、電波が弱いと感じる区間がありました。
ゲームを開いても、位置情報を取得できなかったり、読み込みが止まったりします。
特急が停車する駅でも、通信の弱さを感じる場面がありました。
これは、自分が乗車したときの体験です。宗谷本線の全区間で常に通信できないという意味ではありません。
通信状況は、通信会社、端末、座席、天候、列車の位置などによって変わると思います。
それでも、スマートフォンさえ満足に使えない場所まで来たのだと思うと、遠くまで来た実感が急に強くなりました。
予定が崩れたから、スマートフォンを置いた
最初は困りました。
せっかく宗谷本線に乗っているのに、駅メモ!を思うように進められない。
移動中の時間を使ってゲームをするつもりだったので、予定が崩れた感覚もありました。
しかし、何度か試した後で諦めました。
スマートフォンを置いて、窓の外を見ることにしました。
すると、ゲームの画面を見ていたら見逃していたかもしれない平野や田園が、窓の外に広がっていました。
電波が弱いことは便利ではありません。
もう一度乗るなら、位置情報ゲームも正常に遊べる方がうれしいです。
それでも、不便だったからこそスマートフォンから離れられたのも事実でした。
北海道らしい平野や田園を、ただ眺めていた
宗谷本線に乗る前から期待していたのは、北海道らしい広い景色でした。
大きな名所を一つ見るというより、どこまでも続く平野や田園を長い時間眺めたいと思っていました。
実際に一番印象へ残ったのも、平野と田園です。
期待していたものと、実際に楽しめたものが一致しました。
名所を探して、地図と窓の外を何度も見比べていたわけではありません。
「あれが有名な何々だ」と確認しなくても、ただ景色を見ているだけで落ち着きました。
仕事について考える必要はありません。
人間関係について答えを出す必要もありません。
次に何をするか決める必要もありません。
窓の外に流れる平野と田園を見ていればいい。
仕事を忘れようと考えていたわけではありません。景色を見ている間に、仕事を考えなくなっていました。
ビールと車窓は、鉄道旅でしか味わえない贅沢だった
列車内では、ビールを飲みました。
北海道らしい平野や田園を眺めながら飲むビールです。
豪華列車に乗ったわけではありません。
高い座席を選んだわけでも、高額な食事をしたわけでもありません。
それでも、自分には十分な贅沢でした。
運転しなくていい。
人と話さなくていい。
仕事の判断をしなくていい。
次に何をするか決めなくていい。
景色を見ながらビールを飲めばいい。
お金を多く使うことではなく、自分で何も動かさなくてよい時間を持つことが、自分にとっての贅沢でした。
宗谷本線の長時間乗車は苦行ではなかった
札幌から稚内までの長時間乗車を、短くしたいとは思いませんでした。
時間が長すぎて困ったのではありません。
最初から、長く乗ることを楽しみにしていました。
早く稚内へ着くだけなら、移動時間は短い方がよいのかもしれません。
しかし、移動時間を削ったら、今回一番やりたかったことまでなくなってしまいます。
少しずつ建物が減り、景色が変わり、北へ進んでいく。
その過程を味わいたかったのです。
宗谷本線では、移動と観光を分ける必要がありませんでした。列車に乗って車窓を眺めている時間そのものが旅行でした。
以前乗った飯田線でも、遅さは欠点だけではないと感じました。「飯田線はやっぱり遅い。でも比較動画を見ると魅力まで分かる」では、速さだけで路線を判断できない理由を書いています。

飯田線では、秘境駅、新緑の車窓、地域の生活路線として使われる姿が印象に残りました。
宗谷本線では、北海道らしい広い平野と、スマートフォンさえ満足に使えないと感じた最果て感が残りました。
どちらも、目的地へ早く行くことだけを考えたら、別の選択肢があるかもしれません。
それでも、移動時間を旅として過ごしたいとき、鉄道の長さは欠点だけではありません。
稚内が近づき、日常から遠く離れたと実感した
列車へ乗った瞬間、仕事を完全に忘れられたわけではありません。
乗車直後は、まだ日常を引きずっていたと思います。
仕事のことが頭に残り、位置情報ゲームも気になっていました。
しかし、車窓を見る時間が重なるにつれ、少しずつ仕事から離れていきました。
ゲームが動かないことを諦め、スマートフォンを置き、何もしない時間が続く。
稚内が近づくころには、本当に遠くまで来たのだと感じていました。
飛行機で一気に到着するのとは違う感覚です。
札幌から長い時間をかけて北へ進んだからこそ、自分の生活圏から遠く離れた実感がありました。
時間をかけた分だけ、到達感も大きくなったように思います。
そして、列車は稚内駅へ到着しました。
最初に目へ入ったのは、「日本最北端の駅」という文字です。
何もない最果ての街を想像していました。
しかし、実際に駅を出て感じたのは、「稚内は思ったより都会だった」ということでした。
この第一印象と稚内到着後の街については、次の記事で詳しく書きます。
今なら、位置情報ゲームにこだわりすぎない
もう一度宗谷本線に乗るなら、駅メモ!の記録には再挑戦したいです。
電波も入る方がうれしいですし、通信できないことを美化するつもりもありません。
ただし、ゲームが動かないたびに何度も画面を更新し、車窓を見逃すことは避けたいと思います。
ゲームを楽しむ時間と、スマートフォンを置く時間を最初から分けてもよいかもしれません。
予定どおりに遊べなかったことは失敗でしたが、その失敗があったから車窓を見る時間が増えました。
失敗したから旅が台無しになったわけではありません。
予定が崩れたら、その場で楽しみ方を変えればいい。
宗谷本線では、それができました。
まとめ|宗谷岬は目的地、宗谷本線は旅の主役だった
今回の目的地は、宗谷岬でした。
日本最北端へ行くことも、SFC修行を進めることも、旅へ出た理由です。
それでも、一番楽しみにしていたのは宗谷本線でした。
- 仕事と人間関係から離れたかった
- 毎日同じ景色から遠くへ行きたかった
- 自分で運転せず、北海道らしい平野や田園を眺めたかった
- ビールを飲みながら、何も決めずに北へ運ばれたかった
駅メモ!や信長の野望 出陣は、電波の弱さを感じる区間で思うように動きませんでした。
最初は困りましたし、もう一度乗るならゲームも記録したいという気持ちはあります。
それでも、ゲームを諦めてスマートフォンを置いたことで、車窓を見る時間が増えました。
スマートフォンさえ満足に使えない場所まで来たことが、日常から遠く離れた実感を強くしてくれました。
自分が最も強く最果てを感じたのは、宗谷岬のモニュメントではありません。
建物が減り、電波が弱くなり、北海道の広い車窓だけが流れていた宗谷本線の中でした。
宗谷岬は、この旅の目的地でした。
しかし、自分にとって旅の主役は、そこへ向かう長い宗谷本線の時間だったのだと思います。
※列車の時刻、料金、編成、設備は変更される場合があります。乗車前にJR北海道の公式情報を確認してください。



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