特急しなのではなく普通列車で松本へ行く理由

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松本へ行くなら、特急しなのを利用する方が速く、乗り換えも少なくて便利です。観光時間をできるだけ長く取りたいなら、普通列車より特急の方が合う人は多いと思います。

それでも私は、2026年9月27日に名古屋から松本へ向かったとき、普通列車を選びました。実際に途中で特急しなのを見たときは、特急料金を気軽に払える人が羨ましくなりました。正直に言えば、貧富の差を感じましたし、「悔しいです」とも思いました。

ところが、その悔しさは一瞬でした。今回の旅で一番楽しかったのは、人の少ない普通列車で松本の地酒とわさびサラミを楽しみ、眠くなったら寝て、目を覚ましたら名古屋へ近づいていた時間だったからです。

特急より普通列車の方が優れていると言いたいわけではありません。自分は目的地へ早く着くことより、移動時間そのものを楽しむ旅が好きだった。この記事で一番残したいのは、その気づきです。

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特急しなのの方が速くて便利だと思う

最初に書いておきたいのは、特急しなのを否定する気はないということです。名古屋方面から松本へ向かうなら、特急の方が速く、乗り換えも少なく、設備面でも快適だと思います。

松本城や旧開智学校をゆっくり見たい人、到着後の体力を残したい人、長時間の普通列車移動を負担に感じる人には、特急の方が分かりやすい選択です。同行者がいる旅でも、全員が普通列車好きでなければ、特急を選ぶ方が無難かもしれません。

普通列車には乗り換えがあります。移動時間も長くなります。特急に追い抜かれることもあります。日が暮れれば車窓も見えにくくなり、ただ長いだけの時間に感じる人もいると思います。

速さ、乗り換えの少なさ、観光時間、体力温存を優先するなら、特急しなのを選ぶ理由は十分にあります。私が普通列車を選んだからといって、誰にでも普通列車を勧めたいわけではありません。

自分にとって旅は中津川から始まる

名古屋から普通列車に乗った時点では、まだ旅が始まった感覚はあまりありませんでした。普段の生活圏に近い景色が続き、気持ちとしては旅行より移動に近かったです。

中津川駅では、きれいな売店が気になりました。ただ、乗り換えが忙しく、ゆっくり見る余裕はありませんでした。それでも、中津川で列車を乗り換えると、気持ちの区切りが生まれました。

中津川までは移動。中津川から旅。

名古屋圏を抜け、これから木曽路へ入っていく。列車に乗り続けているだけなのに、中津川を境に日常から離れていく感覚が強くなりました。

特急なら、同じ区間をもっと速く通過できます。それは大きな利点です。一方で今回の自分は、早く通り過ぎることより、景色が少しずつ変わり、旅へ入っていく感覚を味わうことを求めていました。

この日の松本旅行全体と、普通列車だけで日帰りした流れは、以下の記事にまとめています。今回の記事では、その中でも特急しなのへの羨ましさと、最終的に普通列車の方が自分に合っていると感じた理由に絞ります。

名古屋から松本へ普通列車で日帰りしてきた|一番良かったのは帰りの移動時間だった
名古屋から普通列車だけで松本へ日帰りしました。中央西線の木曽路、信州とろろそばと山賊丼、松本城、旧開智学校、帰りの地酒まで、観光地より移動時間が印象に残った一日を振り返ります。

木曽路を味わう時間が好きだった

中津川から先では、山と川が近くなり、緑の中を進む時間が増えていきました。途中にはダムが見え、駅の周辺には家屋や集落がありました。

北海道の鉄道旅で見た、遠くまで土地が広がり、周囲に建物がほとんどない景色とは違います。中央西線の木曽路は、北海道ほど雄大というわけではありませんでした。

それでも私は、木曽路の見慣れた緑が好きでした。山と川の間に家があり、人が暮らしている気配がある。旅先なのに、自分が知っている日本の山間部へ戻ってきたような安心感がありました。

車窓の絶景だけを見ていたわけではありません。駅の様子や、どこから人が乗り、どこで降りるのかを見るのも楽しかったです。普通列車では、目的地までの途中にある土地が、通過点ではなく一つずつ見えてきます。

木曽路を普通列車で進む時間は、松本へ着くまでの待ち時間ではありませんでした。その時間自体が、今回の旅の目的の一部でした。

速さだけでは鉄道旅の価値を測れないという感覚は、飯田線を全線乗車したときにもありました。飯田線の遅さと、それでも乗る意味については以下の記事で書いています。

飯田線はやっぱり遅い。でも比較動画を見ると魅力まで分かる
飯田線は東海道線+中央線経由よりどれだけ遅いのか。2画面同時再生の比較動画を紹介しながら、実際に飯田線を全線乗車した体験をもとに、遅さだけでは語れない車窓や生活路線としての魅力を本音で書きました。

奈良井を見て、また行きたくなった

列車から奈良井の町並みが見えたとき、2026年5月に訪れたことを思い出しました。奈良井は鉄道で行ける中山道の宿場町で、以前歩いた場所です。

そのときの旅行は、まだ記事にできていません。写真も体験も残っているのに、きちんと言葉にできないまま時間がたっています。

今回の目的地は松本だったため、奈良井では降りませんでした。それでも車窓から以前歩いた場所を見ると、もう一度途中下車して歩きたくなりました。

旅の途中で次の旅を考えていた。

目的地へ最短で着くことだけを考えていたら、奈良井を次の旅先として考える時間はなかったかもしれません。普通列車の移動中に、過去の旅を思い出し、まだ書けていない記事を思い出し、次の旅行まで考えていました。

移動時間が長いことは、不便でもあります。しかし、次の旅が生まれる余白にもなりました。少なくとも今回の自分には、その余白が合っていました。

特急しなのを見て羨ましくなった

普通列車の旅を楽しんでいた一方で、特急しなのを見たときは素直に羨ましくなりました。車内には多くの人が乗っているように見えました。

自分は時間をかけて普通列車へ乗っているのに、特急へ乗る人たちは追加料金を払い、もっと速く移動していく。その場では、特急料金を気軽に払える人のように見えました。

「特急料金を気軽に払える人が羨ましかった。貧富の差を感じる。悔しいです。」

少し大げさに見えるかもしれません。それでも、その瞬間の本音でした。普通列車の旅が好きなら、特急を羨ましがらず、堂々としていればよいという話でもありません。

自分の選択に納得していても、別の選択肢を持っている人が羨ましくなることはあります。節約したい気持ちと、料金を気にせず快適な列車へ乗りたい気持ちは、同時に存在します。

ただし、実際に特急へ乗っていた人がどのような事情で切符を買ったのかは分かりません。私が見たのは相手の経済状況ではなく、特急へ乗っている姿だけです。「気軽に払える人」というのも、あくまでそのときの自分からそう見えたという話です。

そのため、この記事で特急利用者を裕福だと決めつけたいわけではありません。残したいのは、普通列車を楽しんでいた自分の中にも、羨ましさと悔しさがあったという矛盾です。

でも、普通列車の方が好きだった

悔しかったのは一瞬でした。

特急に追い抜かれたとしても、普通列車へ戻れば、自分が好きだった時間が続きます。人が少なく、車内は静かで、座る場所もありました。

速く移動できることも自由ですが、周囲を過度に気にせず、自分のペースで過ごせることも自由です。今回の普通列車では、車窓を見る、地酒を飲む、眠くなったら寝るという選択を、自分の判断で決められました。

特急しなのには特急しなのの快適さがあります。実際に乗れば、普通列車とは違う良さを感じるかもしれません。しかし今回の自分が手に入れたかったのは、短い所要時間より、静かに過ごせる長い移動時間でした。

特急が羨ましかった自分と、普通列車の方が好きだった自分は、どちらも本音でした。羨ましく思ったからといって、普通列車を選んだことを後悔していたわけではありません。

「ロングシートかよ」と思った車内で地酒を飲んだ

松本での観光を終え、松本駅で地酒、わさびサラミ、チーズケーキを買いました。商品名や正確な値段は、写真やレシートを確認できていないため、ここでは断定しません。

帰りの普通列車を見たとき、最初に思ったのは「ロングシートかよ」でした。長い鉄道旅なら、進行方向を向いた座席や、向かい合わせの座席を期待していました。

ロングシートでは車窓を見にくく、飲食もしづらいと感じます。普通列車を選んだ自分でも、座席を見た瞬間は少しがっかりしました。

ところが、実際に乗ると人は少なく、車内は静かでした。混雑していれば地酒を出す気にはならなかったと思いますが、そのときは周囲へ迷惑をかけにくい程度の余裕がありました。

松本で買った地酒を開け、わさびサラミと一緒に楽しみました。地酒はおいしく、価格も高すぎないと感じました。また見つけたら買いたいと思える味でした。わさびサラミもおいしかったです。

最初はロングシートに不満を感じたのに、しばらくすると座席の形はあまり気にならなくなりました。自分にとっては、クロスシートであることより、人が少なく、静かに過ごせることの方が大事だったようです。

人少なくて最高だったよ、普通電車。

地酒とわさびサラミが特別に高級だったから満足したのではありません。松本で買ったものを、その帰り道で楽しめたことがよかったです。目的地での体験が、帰りの列車まで続いていました。

特急に乗れなかった時間ではなく、普通列車だったから自分のペースで使えた時間でした。

普通列車だから、眠くなったら寝られた

朝が早かったこともあり、地酒を飲むとだんだん眠くなりました。日が暮れると、外の景色も見えにくくなります。

車窓を楽しめないなら、無理に起き続ける必要もありません。そのまま列車で眠りました。しばらくして目を覚ますと、列車は名古屋へ近づいていました。

寝ていても移動できるのが鉄道旅の醍醐味。

私は寝ていただけです。それでも、その間も列車は目的地へ向かって進んでいます。車で移動していたら、酒は飲めません。眠くなっても寝られず、自分で運転を続ける必要があります。

鉄道なら、飲んでも、眠っても、何もしなくても目的地へ近づけます。普通列車は時間がかかりますが、その長い時間をすべて活動へ使う必要はありません。

速く着くことだけを考えれば、眠っている時間は無駄に見えるかもしれません。でも今回の自分には、朝から歩いて疲れたあと、座ったまま休みながら帰れることが大きな価値でした。

運転せず、景色を眺め、何もしないまま目的地へ近づける自由は、宗谷本線へ乗ったときにも感じました。長時間の鉄道移動を旅の目的として楽しんだ体験は、以下の記事に残しています。

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自分が欲しかったのは速さではなかった

特急しなのを利用すれば、普通列車より速く移動できます。乗り換えも少なくなり、松本で使える時間も増えるはずです。速さにお金を払う価値は確かにあります。

一方、今回の普通列車で自分が得たものは、木曽路の車窓、途中駅や集落を見る時間、人の少ない静かな車内、松本の地酒、わさびサラミ、そして眠くなったら寝られる自由でした。

特急へ乗らなかった自分を正当化するために、普通列車を持ち上げたいわけではありません。条件が変われば、今後は特急を選ぶこともあると思います。

  • 松本での滞在時間を増やしたい
  • 仕事や予定があり、到着を急ぎたい
  • 同行者が長時間移動を望んでいない
  • 疲れていて乗り換えを減らしたい

このような場合は、今の自分でも特急を選ぶ可能性があります。

逆に、時間に余裕があり、木曽路を眺め、途中駅も含めて旅にしたいなら、また普通列車へ乗ると思います。

自分が欲しかったのは、目的地へ早く着く速さではなく、移動中に誰にも急かされず、自分のペースで過ごせる時間でした。

特急は速さを買う選択です。普通列車は、今回の自分にとって、移動時間そのものを旅にする選択でした。どちらが上という話ではなく、自分が何を優先するかの違いです。

まとめ|次もたぶん普通列車で松本へ行く

特急しなのを見たときは羨ましかったです。正直、悔しかったです。特急料金を気軽に払える人のように見え、貧富の差まで感じました。

それでも、今回の旅で一番楽しかったのは、人の少ない普通列車で地酒を飲み、わさびサラミをつまみ、眠くなったら寝て、目が覚めたら名古屋へ近づいていた時間でした。

中津川から旅が始まり、木曽路の見慣れた緑を眺め、奈良井を見て次の旅を考える。普通列車の移動時間には、目的地へ着くだけでは終わらない余白がありました。

速さなら特急に負けます。それでも、自分にとって旅だったのは普通列車の方でした。

観光時間や体力を優先する人には、特急しなのの方が合うと思います。これが誰にとっても正しい選択とは限りません。

ただ、もし移動時間まで旅にしたいなら、普通列車で松本へ向かう選択もあります。今の自分なら、次もたぶん普通列車で松本へ行くと思います。

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